CUNNINGステップ【長編小説の書き方:カンニング編】

CUNNINGステップ

1.1CUNNINGステップのはじめに

さて、前章で発展形のパラダイムと、それに付随する考え方を知った。けれど、まだ物足りない。もっと具体的な指標が欲しいよね。そういうものは、どれだけあっても困らない。

三幕構成がメインウェポンなら、ここで学ぶのは、取り回しのいい、とても都合のいいサブウェポンだ。

そしてもしそれが、テンプレートと呼べるくらい、強力なものだったとしたら?

2.1カンニング&チート:構成の抜け道を歩こう

構成のカンニング・テクニックの正体について紹介しよう。パラダイムが少々不安定でも、「現在自分が思いついているシーン」からパラダイムを逆算できたり、サブコンテクストの指針がいまいち固まらないときに使える抜け道だ。

このステップの核となる手法だから、ガッツリ尺を割いて紹介するよ。

2.2三幕構成とBS2を組みあわせる

三幕構成で、文脈という考え方を学んだよね。文脈に沿ったものを、書き、文脈に沿わないものを書かない。一番大きなものが『状況設定・葛藤・解決』であり、パラダイム上の点を打つことによって、サブコンテクストへと分割されていく。

BS2はこの、「どこの空間にどんなことを書けばいいのか?」を、強力にサポートしてくれる。三幕構成とBS2を合わせて使い、「ここに何を書けばいいのか?」を、より具体的にできるようになろう。

3.1『テーマ』=誰が何をするか

そろそろ、『テーマ』という言葉について言及しないとね。「まずはテーマを決めましょう」というけれど、『テーマ』って何だろう?

テーマとは何で、テーマとはどこに書いてあって、ここで決めた『テーマ』というやつを、どうやって使えば長編を完成させてくれるんだろう?

3.2第一幕の何ページ目に、何を書けばいいの?

長編が書けない人が最初に躓くのは第一幕だ。第一幕では、やることが山ほどある。状況設定をシーンに変換して見せる、この膨大さと、膨大さからくる呆然で、何をしたらいいのか、わからなくなってしまうのだ。

やることはいっぱいある気がする、けれど、まず何をすればいいかわからない。

けれど、第一幕に何をすればいいのか、そのガイドラインというのはちゃんとあるんだ。第一幕の最初の33.3%、次の33.3%、最後の33.3%。これらのステップでやることは多くの物語で共通しており、読者の知りたい内容でもある。

最初のここでは、第一幕のカンニング・テクニックについての話をするよ。

3.3「日常シーン」という分類は構成には存在しない

「日常シーンはどこに入れればいいんでしょうか?」

この質問を受ける回数はとても多い。そして、これに対するぼくの返答は、いつも驚かれる。だって、構成では「日常シーン」という分類は存在しないんだ。

だが現実に、流通している物語には日常を描いたシーンが沢山存在している。

ここでは、これまで学んできた知識を使って日常シーンの取り扱い方法について話すよ。

3.4プロットポイントをカンニングして見つける方法

プロットポイントの判別は物語を構成する上で最初の難関であり、とても躓きやすい部分でもある。だけどこれにも抜け道はあって、「こういうシーンはプロットポイントな可能性が極めて高いよ」と言える見分け方があるんだ。

ここでは、その抜け道について説明するよ。

3.5第二幕の最初にすべきこと

ちょっとした話なんだけど、案外、人に言われないと気づかないことというのがある。

第二幕に入って最初にすべきことというのがあって、それをやっていないと、物語の向かう方向が曖昧なままになってしまう。

最初の読者である自分自身を納得させるため、まず必要な項目を確認しておこう。

3.6二種類の葛藤を区別する

キャラクターの心の動きばかりに注力してしまって、いざ書こうとすると「各シーンがない!」となる。もしくは、シーンをどれだけ重ねても「なぜか物語が薄っぺらく見える!」となる。これは、二種類の葛藤を混同しているがゆえに起こってしまう。

2種類の葛藤をきちんと区別して、トラブルを予防しよう。

3.7「巻き込まれ型の主人公」を書いていい理由を見つける

乗り気じゃない巻き込まれ型の主人公、ダウナーな主人公を書いてはいけないのか?

ブレイク・スナイダーは「主人公は必ず行動的でなければならない」と言っているが、それはつまり、「巻き込まれ型の主人公を書くな」という話なのだろうか?

そんなことはない。吉良吉影のように「毎日を植物のように静かに暮らしたい」と願っている人物でも、主人公になることはできる。この点について話していこう。

3.8「クライマックス」という言葉は忘れたほうがいい

クライマックスという言葉を使うのは、今日でやめよう。少なくとも、自分で物語を構成するときは、この言葉を使わないほうがいい。

なんでかっていうと、「書くためのツール」としては機能しないから。それについて話をしていくよ。

4.1起承転結を三幕構成&BS2で説明する

起承転結の「承」と「転」。この二つはいつも、ぼくらのような長編が書けない書き手を悩ませてきた。

けれど今なら、その存在を目視する形で説明することができる。長い話にはならない。「承」と「転」 には何を書けばいいのか? 手っ取り早く見ていこう。

4.2「テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼ」と、三幕構成の関係

「テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼ」も、創作ハウツーにおいては良く使われる言葉だよね。けれどこれも、構成の言葉で簡単に説明できる。

「あー、そういうことね」くらいに合点してもらって、他の創作ハウツーの吸収も加速させておこう。

4.3ITVSBS2

これまで何度も引き合いに出してきた、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を、三幕構成とBS2、両方の視点から分析しよう。

4.4CUNNINGステップのおわりに

このステップもおわり、最後にちょっとした挨拶と、注意事項だ。

このステップでは結構具体的に「この部分には○○を書く」という話をしてきたけれど、分析する際も、実際に書く際も、この比率に盲従する必要はない。目安はあくまで目安なんだ。