- 1-1.構成がやってくる! ヤァ! ヤァ! ヤァ!
- 1-2.「物語を構成すること」に対する3つの誤解と、テンプレートの話
- 1-3.ぼくらにとっての「構成」とは、「どこに、何を書くか」を知ること
- 2-1.「氷山の一角の下」を知らないと始まらない
- 2-2.三幕構成のメインエンジンと、第四幕が存在しないワケ
- 2-3.理論上絶対に必要な2つの要素
- 2-4.問1「X㎝の定規を4分割したときの値を、整数のみで表せ」
- 2-5.序盤を書けるようにしてくれる、親切な守護者
- 2-6.序盤を書けるようにしてくれる、厄介な守護者
- 3-1.パラダイムの使い方
- 3-2.パラダイムの実用例『美女と野獣』
- 3-3.あなたが書くシーンは、2種類に分けられる
- 3-4.「繋ぎのシーン」の考え方
- 4-1-A.構成の視点で物語を見る/前編
- 4-1-B.構成の視点で物語を見る/後編
- 4-2.最低2回は視聴しないと、分析は失敗する
- 4-3.BASICステップを終えて
1-1.構成がやってくる! ヤァ! ヤァ! ヤァ!
ようこそ、構成の世界へ! あなたは長編小説を完成させようとしていて、ここにはその手段がある。話が早いね!
物語の構成を学ぶ利点はざっくり言うと、「長編を完成させられるようになる」、「読者の関心を維持しやすくなる」、「執筆速度がアップする」、「日々の生産量が安定する」、「楽しく自由に執筆できるようになる」、「きちんとした根拠を以て執筆・推敲できるようになる」こんな感じ。
このBASICステップでは、構成の基礎となるツールや、必須となる概念について紹介していくよ。チャプター1ではまず、構成の必要性や、「構成」って言葉に対する誤解の話をしていくよ。
「前置きはいいから、メインエンジンとなる手法について早く知りたい!」という人は、「2-2.三幕構成のメインエンジンと、第四幕が存在しないワケ」から読み始めよう。
1-2.「物語を構成すること」に対する3つの誤解と、テンプレートの話
「物語の完成に必要な要素」について話す前にまず、あの大きな誤解をについて話さないとね。多くの人が、「構成」という言葉そのものに「創作を制限する」とか、「構成はテンプレの物語を量産する」っていう誤った認識をしてしまっている。
「ハリウッド脚本の技術って、ハリウッド映画みたいに似たような物語を量産するテンプレートじゃないの……?」という懸念を払拭して、気持ちよく構成を学べる準備を整えよう。
1-3.ぼくらにとっての「構成」とは、「どこに、何を書くか」を知ること
「構成」っていうのはまったく、よくわからない言葉だよね。「構成が良い」、「構成が悪い」って聞くけれど「じゃあ構成ってなんだよ!?」って話だ。
あなたはこれから物語の構成について学んでいくわけだけれど、一体何を学んでいくのだろうか? その中身を見ていこう。
2-1.「氷山の一角の下」を知らないと始まらない
この分野は、まず全体を把握して、それから部分を明確にしていくというアプローチをとる。だから、全体を把握せずに「思い付いたあのシーンをどこに入れればいいんだ!」とか「あのキャラの設定はどこで見せればいいんだ!」と考えると失敗するんだ。
ぼくらの目に見える個々のシーンというのは、積み上げられた上澄みでしかない。目に見えているのは氷山の一角で、その下には大きな土台が隠れている。
「ピンとこない話が続く言い訳」なんだけど、BASICステップで扱う内容は、今後すべての基盤になる。だから、ちょっと聞いてほしいな。
2-2.三幕構成のメインエンジンと、第四幕が存在しないワケ
前置きが長くなってしまったけれど、ここからは楽しい話になるよ。構成のメインエンジンについて紹介していこう。
「三幕構成を使って長編を書く」とは、ここで紹介するメインエンジン『パラダイム』を使って、「どこに、何を書くか」を知ってから書くということだ。書く内容が明確になっていれば、長編はちゃんと完成する。
思いっきり詰め込むけれど、「物語のどこに、何が書いてあるのか」をモデル化して把握する、最高のツールだよ。
2-3.理論上絶対に必要な2つの要素
「これを決めておけば長編は書けるようになる、っていう要素ってないのかな?」
こんな風に思ったことってないかな? ぼくはあるし、長編が書けなかった頃はずっとそういうものを追い求めていた。
「長編の完結に、理論上絶対に必要になる要素」というのは確かにあって、この2つが抜けていると、理論上、確実に書けなくなる。
これらが抜けていると、いつまで経っても序盤が終わらないし、中盤で拡げた物語を畳むことができない。この要素を正確に判別できるようになれば、BASICステップは殆どクリアしたようなものだ。構成における急所中の急所になるから、しっかり押さえておこう。
2-4.問1「X㎝の定規を4分割したときの値を、整数のみで表せ」
「長編が書けないんです、どうしたらいいですか?」こういう質問をもらったとき、ぼくはまず最初に「その物語のエンディングは決まっている?」と尋ねる。
そして「まずはエンディングを決めましょう」というんだけど、反応はあまりよくない。「エンディングが決まってないからって、それがなんだっていうんだ?」って感じでね。
ハッキリ言って、エンディングを決めずに書くのは自殺行為だ。何故なら、パラダイムが機能不全を起こすから。
エンディングとオープニングに対する認識を改めるとともに、「エンディングを決めずに書き始める方が、良い作品ができる」という信奉を見つめ直そう。
2-5.序盤を書けるようにしてくれる、親切な守護者
冒頭やプロローグはめちゃくちゃ気持ちよく書けたのに、そのあと急に書けなくなる。大体2万~3字あたりで、暗雲が立ち込めてきて、そのあと完全に執筆が止まる。中盤までたどり着けずに力尽きる、もしくは、中盤までに読者がいなくなる。
こういう現象に、心当たりはないかな? そしてもし、これを回避できる方法があったら?
この回の記事は、リニューアル前に大好評だった記事のリメイクだ。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の有名なあのシーン、「ハァイ、ジョージィ」のくだりから、序盤を書けるようにしてくれる、超重要な要素について話すよ。
2-6.序盤を書けるようにしてくれる、厄介な守護者
今回紹介する概念は、ちょっと厄介だ。重要だけど重要じゃなくて、必要なんだけどそうでもない、けれど覚えておかないといけない。インサイティング・インシデントに比べてずっと厄介な、もう一つのインシデント。
邦訳されている情報がものすごく少ない概念だから、ぼくの解釈も幾分か入るんだけど、最終的にはちゃんと、実用できる形で落ち着けるよ。
インサイティング・インシデントと合わせて、序盤の要となる概念だ。また、視点や時系列の入れ替え、群像劇についても触れるよ。「読者の興味を失わせないために」という意味でも重要になるから、目を通してほしい。
3-1.パラダイムの使い方
物語を形作る3つの幕と文脈。エンディング、オープニング、プロットポイントⅠ、プロットポイントⅡ。プラス、インサイティング・インシデントとキイ・インシデント。これらの用語を学んできた。
ここからは、それらをどうやって使っていくかというステップだ。たったこれだけの要素をハッキリさせただけで、何ができるようになるのか? パラダイムを書いたとして、こんなアバウトな図が何の役に立つのか? どうやって活用していくのか?
パラダイムの使い方を知り、「では、自分の物語の場合はどうか?」と考えられるようになろう。
3-2.パラダイムの実用例『美女と野獣』
娘を置いてパリへ行商に向かう父親。森の城へ迷い込み、不幸にも庭内の薔薇を摘み取ってしまう。父をかばいすべての責任を負ったハーマイオニーに対し、城の主、野獣が言い渡した示談の条件とは……。
この回の内容は、メールマガジンで以前配信した内容をベースにしたものだ。実写版『美女と野獣』をもとに、三幕構成がどう使われているかどうかを確認しよう。そして「では実作では、パラダイムをどのように使うのか」といった、より踏み込んだ内容について触れていく。
子供の関心を引き続けるディズニーの職人技、そこからぼくらが何を学べるかといった点もフォローするよ。
3-3.あなたが書くシーンは、2種類に分けられる
さて、前回は主にプロットポイントがどこかという部分に焦点を置き、その説明を重点的に行った。しかし、それらをぼくらが実作に生かすには、ここからどう学べばいいのだろうか? 今日は、その部分について確認してこう。
昨日はパラダイム上の重要な要素を見ていったけれど、ここで前提をひっくり返すよ。
オープニング、エンディング、プロットポイントⅠ・Ⅱは、物語上の重要な要素だ。だけど、シーンについて考える上で重要になるのは、もう一歩先の部分になる。
せっかく書けるようになったパラダイムだ。実作に活かす使い方を見ていこう。
3-4.「繋ぎのシーン」の考え方
前回は、「既に思いついているシーンをどこに配置するか」がメインの話だった。ある意味、プラスの状態にあるシーン、「どこに入れればいいか決まっていないシーンの場所を判別する」ものだったね。
今回はそもそもシーンが決まっていない状態、いわばマイナスの状態である「足りないシーンの補い方」についてやっていくよ。ここは、多くの人が気にしているポイントだと思う。
点の次は、パラダイム上の空間に着目する。「シーンが足りないとして、ではどんなシーンを思いつき、繋ぎのシーンを作ればいいのか」を扱っていくよ。
4-1-A.構成の視点で物語を見る/前編
ここまで何度も引き合いに出してきた物語だから、そろそろ全体像を掴んでおこう。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のパラダイムを分析するよ。
流通している物語がどのような構成になっているか、その骨格を見てみよう。
また、この大雑把な見取り図が何故「どこに、何を書くのかについてそこまでちゃんと担保してくれるのか?」という点についてもカバーするよ。
4-1-B.構成の視点で物語を見る/後編
後編では、構成の視点から『マトリックス』を確認していくよ。ここまで何度も引き合いに出してきた物語だから、その正体をはっきりさせておこう。
また、パラダイムのどこを見れば「どこに、何が書いてあるのか(=どこに、何を書けばいいのか)」を知れるのかについても触れていく。「過去に三幕構成を学ぼうとしたけれど、思ったほど効果が出なかった」という人の場合、ここがフワフワしていることが多いから、そういう人は特にチェックしてみてほしい。
4-2.最低2回は視聴しないと、分析は失敗する
「そうだ、一度見ただけで分析できれば、分析効率が二倍になるぞ!」こう思ったのは、ぼくだけじゃないはずだ。けどこれは、理論上不可能なんだ。エンディングの話を覚えている人は、ピンときたかもね。
他にも、ハリウッド映画をサンプルに使う利点や、「物語をコントロールするのは、物語の面白さを損なうのか?」という疑問への回答を出すよ(特にこっちは、これまでの話を聞いてくれたあなたにしかできないものだ)。
4-3.BASICステップを終えて
長かったBASICステップももうおしまい。最後に、ここまで読んでくれたあなたに、ちょっとした挨拶をしようと思う。こんな趣味全開のバタ臭い文章じゃなく、まともな口調の挨拶をね。
スティーヴン・キングがプロット嫌いを公言している件についても触れるから、少しはあなたの知見を増やすことにもつながると思う。良ければ読んでくれると嬉しいな。