4.4超長編に三幕構成を適用しよう

ADVANCEステップ

「パラダイムは、90分や120分の映画、単行本一冊では使えるかもしれないけれど、10巻20巻とある小説や、漫画に使えるの?」

よくある疑問かもしれない。そして答えはYESだ。

三幕構成を使うこと、つまり、パラダイムを使って書くということは、線の上に点を置いて、その空間に何が入るのか注目するということだ。

大きさ、具体性こそ違えど、点と空間であることは同じ。パラダイムを拡大したり、拡小したりすることで、超長編でもパラダイムを使って書くことができる。

1つの幕の中にも、序盤・中盤・終盤があると、考えるのがわかりやすい。長期連載の漫画作品だと、特に顕著だ。

例えば、『NARUTO』のサスケ奪還編を、思い出してほしい。

サスケ奪還編では、序盤、サスケが音の五人衆に拉致される。そして中盤、小隊を編成したナルトたちは、音の五人衆と戦う。しかし、サスケに里へ戻る意思はなく、終末の谷で対決し、ナルトは敗れる。そして、サスケは出ていく。サスケ奪還編そのものにも、序盤・中盤・終盤が存在する。

■『NARUTO』のパラダイムから見る、入れ子式の構造

物語全体で見た場合、これは序盤の終わり、プロットポイントⅠだ。最終巻でサスケとナルトが決着をつける以上、『NARUTO』は二人の関係の物語である。

構成の面からみると、ナルトが火影になったのは結果であり、それまでに描かれてきた過程は、多かれ少なかれ、サスケとの関係についてだ。「火影になるために何をすべきか」という道ではなく、サスケとの関係を追っていく中で、最終的に火影となる道を歩んでいる形だね。

完結している長編漫画を読んでみて、「○○編」と分類できるまとまりを、見つけてみよう。○○編というのは、高い視点で見たサブコンテクストそのものだ。

その中にも、序盤、中盤、終盤があって、結果的に、物語を前に進めている。そしてすぐ、また別の「○○編」に入っていく。それを続けることで、物語全体から見たプロットポイントへ到達するのだ。

全体のパラダイムを書いた後、お気に入りの「○○編」のパラダイムを書いてみるといい。そして「○○編」のパラダイムが、全体のパラダイムのどこに振り分けられているか、確認してみよう。

超長編も、短編にも、パラダイムは当てはまる。序盤・中盤・終盤は、どんな点と線の間にも存在し、入れ子式に具体性がアップしていく。超長編の中にも序盤・中盤・終盤があり、その中の「○○編」にも、「○○編」を形作る1話にも、それは存在する。

もしかすると、超長編に応用する中で、特別な何かがあると期待した方もいるかもしれない。けれど、そんなものは必要ないのだ。

長いか普通か短いか、拡大した視点でパラダイムを見るかの違いだけで、物語は物語だ。物語な以上、序盤・中盤・終盤があり、パラダイムが物語の構成を教えてくれる。これ一つで何にでも効くから、万能薬なんだ。

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