ADVANCEステップを終え、ようやく、起承転結の正体を説明することができるようになった。
承が第二幕の前半で、転が第二幕の後半を指す。起承転結で考えた場合、転がとても厄介なんだ。
三幕構成の面から、パラダイムを使って起承転結を見ると、こんな風になる。
ミッドポイントを使うことで、承と転を区切ることができるようになったね。
見てわかるように、転は、ミッドポイントそのものではないんだ。あくまで、「ミッドポイントを経てどうなるか」を見せていく文脈であって、事態が転ずる、ミッドポイントそのものを指すわけではない。
ミッドポイントはプロットポイントの一種で、特定のシーンや出来事を指す。パラダイム上の「点」を指す概念であって、パラダイム上の「空間」を指す概念ではない。
『転』が、ミッドポイントに当たるシーン単体だと捉えてしまうと、ミッドポイントを書いた後、「で、これからどうすればいいんだ?」と、書くことがなくなってしまう。
こんな風に、転を単体のシーンと捉えると、パラダイム上のサブコンテクストが消失してしまう。物語の3/4の範囲が何についてのパートなのか、わからなくなってしまうんだ。そりゃ書けなくなるよ。
上の図の例は、承の空間がどこからどこまでかも、わかっていないパターンだ。起で始まった物語が、なんとなく続いて転へ至り、書くことがもやもやしたまま、結へたどり着くこともない。
似たような問題が、結でも起こる。
以前にも言ったように、『結』は解決という文脈であって、エンディングのシーン単体を指すのではない。第三幕の文脈を指すのだが、そのことを知らなければ、転と結の境目がどこかもわからないのだ。それがわからなければ、プロットポイントに当たる出来事が何かもわからない。結果、悲惨な目に遭う。
シーン単体のことを指しているのか、パラダイム上の空間を指しているのか、その空間に何を入れるのかという話をしているのか。こういった部分を理解できていないと、混乱してしまう。
あなたがもし何度も起承転結を試していたとしたら、そのとき、シーン単体とパラダイム上の空間を、混同していなかっただろうか?
この混同は、あなたが今まで触れてきた構成の分野の創作ハウツーの理解を、大きく妨げている。
ミッドポイントを打って、その間のサブコンテクストを見つける。パラダイムに点を打って、その空間に何が入るのかという視点で、物語の構成を見る。こういう考え方を知った今、ここを混同をすることはない。
パラダイムは、他の創作ハウツーの吸収も高速化する
どんな物語にもオープニングとエンディングがあり、序盤・中盤・終盤がある。つまり、パラダイムの考え方を適用することができる。
起承転結に限らず、パラダイムの考え方は多くの創作ハウツーに当てはめることができる。
このモデルを使って、「あ、これはパラダイムでいうところの○○の部分について言っているんだな」とか、「これは、サブコンテクストにどういう種類の話題を当てはめれば面白くなるかについての、創作ハウツーなんだな」と、当てはめて考えることができるようになるんだ。
この考え方を知っていると、Twitter上で見かける創作ハウツーを流し見するだけでも、何について、どこについての話をしているか、すぐにわかる。だから、吸収効率がすごく良くなるし、触れられる情報の数も、どんどん増えていく。実際この先では、ハリウッド産の他の手法をパラダイムに当てはめて、考えていく。吸収はあっという間だ。
まあ代わりに、創作の悩み系ツイートを見かけると「相手がどこの部分で困っているのか、多分、自分と相手では、見えているものも、それを表す言葉も違うんだろうなぁ。指摘もできないし、もどかしいなぁ」とも、思うようになるんだけれど。