これで、下準備はすべて終わった。キーボードが懐かしいね!カードを書き終わったら……、執筆が待っている!
このプロセスを終えた段階で、構成の手法について仮免を出せるくらいの実践は、できていることになる。並べ終わったカードを見てほしい。あなたの物語において、どこに、何を書くかが一目瞭然だ。
長い長い下準備は、ようやく終わった。どこに出しても恥ずかしくない、「物語が物語の形をするために必要な要素を、ちゃんと満たしたプロット」が完成したんだ。ここまできちんと自分の物語について知っているのに、どこに執筆が頓挫する要素があるのかってくらいにね。
あとは、構成を構成のままで終わらせないために、執筆面での注意事項や、トラブルへの対処などをちゃちゃっと頭の隅に入れれば、出発の準備は完了だ。それでようやく、執筆に移ることができる。
そう、あと少しだけ、知っておいてほしいことがあるんだ。
ぼくは、『アカギ』という麻雀漫画が好きなんだけど、その中に、「優勢と勝利は似て非なるもの」という台詞がある。
あなたは今まで、手に負えないモンスターとの闘うためにあらゆる手を尽くしてきた。その甲斐あって、戦況は優勢だ。けれど、まだ勝ちが確定したわけじゃない。ぼくが第三幕で大ポカをやってえらい目に遭ったように、勝ちが確定するまで、作品を最後まで書ききるまでは、油断してはだめだ。
優勢と勝利が別物なように、カードを書き終えストーリーラインを把握したことと、原稿が完成することは違うことなのだ。
いくら戦況が優勢でも、奴らは即死攻撃を持っている。ひと噛みであなたの小説を未完成にしてしまうかもしれない。準備万端でも、油断していると総崩れになる可能性がある。そして最後は、モチベーションを維持できずに、打ちひしがれてしまうかもしれないのだ。
そういったことへの対策を抑えて、悠々と執筆に入れるようにしよう。