4.2プロットカードを実際に書いていく流れ

CARDステップ

カードを書く流れは、びっくりするくらいシンプルだ。

まず、パラダイムを見る。左端のオープニングから、右端のエンディングに向かって、1枚ずつ、順番にカードを書いていくんだ。それだけである。

何事も、シンプルなものだ。奇をてらっておかしなことをする必要はない。物語の始まりから、順番に1枚づつ、カードを書いていく。

パラダイムはエンディングから決めたが、あれは、物語の全体像を割りだすために必要だった手順だ。カードを書く場合、オープニングから順番に書いていく。

その枚数は、56枚だ。あなたは、56枚のカードに、物語のすべてを落とし込むことになる。第一幕、第二幕前半、第二幕後半、第三幕、それぞれ、14枚。その合計枚数だ。

■14×4=56

この枚数や比率については、きちんとした根拠がある。シド・フィールドがそうだと言っているのだ。

脚本30ページに対して、14枚のカードが最適だとフィールドは言っている(120ページ、二時間の映画脚本で、56枚になる計算だ)。

フィールドはこの枚数の根拠を、「14枚がベストだ。何十年にも渡って、国内外で何千人もの生徒をたちを教えてきた結果発見したことだ。不思議だが、事実だ」と、何十年という自身の経験で裏付けている。

あなたは、56枚のカードを書くことになる。そしてその内訳は、第一幕が14枚、第二幕前半で14枚、第二幕後半で14枚、第三幕が14枚となる。最低限、これだけは必要だ。

最低限という言葉を使ったのは、あなたが書くのが映画脚本ではなく、小説だからだ。

毎度のことだが、映画の尺事情はシビアだ。長すぎる映画は、回転率が悪いから上映を映画館に断られる(『タイタニック』なんて、普通の映画の倍近いお客さんを呼ばないといけないんだ。よく作ったよあんな映画!)。

その上制作の面でも、「どんな情報を見せるにも、映像が必要」という部分が足枷となる。地の文が使えないおかげで、情報を詰め込んだら詰め込んだだけ、尺が伸びてしまうのだ。だからカードの数を管理することは、小説以上に大切になる。

反面、小説は情報の圧縮をしやすい。地の文のおかげでね。それに映画のように、伸びたら伸びただけ、製作費が数千万単位でかさむという事もない(ちなみに、『マトリックス』はオープニングシークエンスを撮るだけで一千万ドルかかったそうだ。)。公募にしたって、枚数の規定にはある程度の幅を持たせてある。WEB掲載なら無制限だ。こんな風に小説は、映画脚本に比べたらちょっと楽ができる。

カードが足りないのはまずいけれど、ちょっと多いくらいは大丈夫。だから、56枚という最低枚数を満たすことを意識しよう。

56枚のカードを書き終えるまでは……、そう……、執筆に移らせる気はないよ。

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