4.8A&Cステップのおわりに

A&Cステップ

今回はBS2を応用して、基本とはちょっと違った視点から、物語にアプローチしてみた。第二幕前半が肝になる視点で、「その物語のウリを考える」とか、「書きたい部分を推す」「鬱展開を推したいなら、早い段階から鬱展開が売りであることを示す」という、読者の反応に繋がりやすい部分だね。

このテキストを読んでいる人の中にも、今日までぼくに「自分の物語を『もし、○○が○○だったら?』に当てはめると、なんて表現する?」と聞かれた人がいるかもしれない。この質問は第二幕前半の内容を尋ねたものであり、第二幕前半の内容がわかれば、後半の内容がわかる。

第一幕はその準備で、第三幕はその結果だ。サブキャラを動かす場所も、主人公が劣勢に立たされる場所も、それが最悪になる場所も、『お楽しみ』から芋づる式に引きずりだしてしまえるんだ。

友達がご飯のついでに作品の相談をしてきたときなんか、登場人物の話を一から聞く時間もないしね。「この物語のウリにしたいシーンは?」とか、「『誰が何する物語』か一言で言い表してみて」とか、「『もし、○○が○○だったら?』で言い表すとしたら?」この辺りを聞けば、大体の造りはわかる。

物語を進行させるのはキャラクターの設定ではなく、そこから生まれた行動であり、出来事だ。それを追っていくのが物語で、「何を書くべきか」なんだ。

あとは適宜、キャラクターの設定やヒロインやサブキャラの話を聞いていけばいい。これでパラダイムとBS2は完成だ。

手っ取り早いように見えるけれど、ここまでの積み重ねがあって初めて、こういうショートカットができるようになるったという事は、覚えておいてね。

BASICの段階で「『もし、○○が○○だったら?』に、第二幕の前半で応えればいいですよ」とか、「読者の期待には、第二幕前半で応えましょう」なんて言われても、マジで理解不能だ。

第二幕前半に書くべきものを知って、その上で、他の部分に何を書くのか知っていて初めて、明確な指針とできる。

今のあなたになら、と、毎回言っている気がするが、ほんとうにそうだ。きちんと理論を知ってもらったうえでないと話せないことばかりなんだ、この分野は。

そして、知れば知るほど、内容が具体的になっていく。BASICで基本のパラダイムを書いたときに比べて話が随分具体的なことに、あなたも気づいているんじゃないかな?

あのころは、図を持ち出し、「物語にはエンディングとオープニングがあります」なんて、生卵を投げられそうな話から入って、プロットポイントが云々、文脈が云々なんて話を、延々としていた。

それがBS2で「読者の期待に応える」とか、「サブキャラはここで活躍させよう」とか、「鬱展開をやるならここ」という話ができるようになり、今回、それを応用して、「第二幕前半のことを知れば、大体なんとかなるよ」という話まで、できるようになった。

実際、このステップでは、「ピンとくる話」が多かったと思う。ADVANCEステップまでは骨組みの話が多かったけれど、今はかなり、個々のシーンの内容そのものに関する話が増えてきたらからね。

もし以前のステップを知らないままここを読んでしまっているのなら、先に戻って是非読み返してほしい。基礎あっての応用だ。

いい加減キーボードが懐かしいかもしれないけれど、あと少しの辛抱だ。もう少しで、原稿に取り掛かる準備が整う。物語の全体像を掴んだら、今度は「プロットカード」ってやつを書かなくちゃ。

あの厄介で、よくわからなくて、書いたのになぜか執筆が途中でストップしてしまって、アドリブをしていいのか駄目なのかわからない、「プロットカード」。扱い方をきちんと知っておかなきゃね。

それでは次回、CARDステップで!

そして今日もあなたの創作に、お楽しみと適切な鬱展開と、省力化によって手に入るクオリティアップがありますように。