6.1「予定になかったプロットカードを追加する」のは戒律違反か?

CARDステップ

あなたが第二幕の後半のカードを書いていた時、悪魔の誘いか神のお告げか、当初考えもしなかったシーンを思い付いた! おめでとう! カードを追加しようじゃないか!

しかしその出来事が起こる地点は、既にカードを書き終わった、第二幕の前半だった。

ひらめきは何物にも代えがたい素敵なことだけれど、「でも、当初予定していなかったシーンだし……、どうしよう……」と不安になってしまう。

今から第二幕前半にカードを追加するなんて可能なのだろうか? そもそも、カードの枚数はぴったりにしてあるのに、追加して大丈夫なんだろうか? そもそも、予定にないシーンを追加することは、戒律違反ではないだろうか? けれど、このシーンは最高に面白いから、絶対入れたい……。

もしあなたが、こんな風に、後から途中で新しいカードを追加したくなったら、どうするべきだろう?

答えは簡単だ。追加すればいい。

書くべきか書かないべきか、迷ったシーンも同様に、同じ対処をする。基本的に、より面白くなると思ったらなら、そのシーンは書くべきだ。

フィールドは「たとえ新しいシーンがうまくいかなかったとしても、せいぜい二、三日無駄にするくらいのものだ。本当は、あなたは何も失ってはいない」と言っている。なんて心強い言葉だろうか。

良くなる気がしたのなら、やってみよう。結果、上手くいかなかったとしても、後からカットすればいい。あなたは何も失っていないのだ。

そのカードが入る場所をすぐに思いつかないようなら、脇にどけてまとめておこう。一通り書き終わってから、収まるべき場所を探せばいい。カードは入れ替えたり、取り替えたり、一時的に脇にどかしておける道具だ。

ただしカードを大きく追加、変更する場合、パラダイムを見直すことを忘れないようにしよう。

ピンチⅠ、Ⅱにとって代わるような出来事だった場合、サブコンテクストが変化する可能性もある。変更を加えた部分がプロットポイントⅠ、Ⅱやミッドポイントの場合はなおさらだ。

パラダイムを変化させるレベルの変更を加えた場合、一旦カードから離れて、パラダイムを再チェックする。

パラダイムが変化するという事は、サブコンテクストも変化する。カードを書いていくための元データが変化するという事だ。あなたは地図を持っているが、地形が変わった。なら、新しくその地形を測量しないといけない。

基本的に、変化を加えることを恐れる必要はない。頭が痛くなるかもしれないが、救急車に乗るほどの事態にはならない。

あなたはパラダイムやBS2といった、自己診断・自己治療の手段を持っているからね。患者のお腹を切り開くことになっても、縫合の仕方を知った上でやっているんだ。

書きたいものを形にするために書いているのだから、そのようにやればいいのだ。事故にさえ気を付ければ、物語に首輪をつける必要なんてない。こういうアドリブ的な部分を享受するのも、書くことの楽しさだ。

あなたはこれまで、パラダイム、BS2と、専門的な内容を学んできた。それは堅く、よくしなる背骨となって、物語を支えてくれている。後から何かを追加したとしても、収拾がつかなくなるようなことはない。

これまで真剣に取り組んできた恩恵が、こういうところで発揮される。一種のボーナスなんだから、喜んで享受しよう。あなたの物語にまっすぐ入っている筋金が、思い付いたシーンを受け止めてくれるよ。