4.1プロットカードで守るべき、矛盾した2つの原則

CARDステップ

1シーン1枚、これが基本のイメージだと、以前言ったね。そういうイメージでとらえてくれ、と。あの話には続きがある。シーンとシークエンスの話を終えた今が、その続きを話すときだ。

カード1枚には、原則として、1つのシーンを書く。が、もう一つの原則として、1つのシーンもしくは、1つのシークエンスを書く。厳密に言うと、1つのシーンや、1つのシークエンスのアイデアを、カードに書いていく。

■カードを書くときの原則

1つのシーンと、1つのシークエンスを同じ重さで扱う。1シーンも1シークエンスも、カード上では1枚だ。これは、明らかに矛盾していることのように思える。

そしてびっくりなことに、実際に矛盾しているのだ。

そのことについて、フィールドはこう言っている。

1シーンを1枚のカードに書く。これは実際の脚本を書く時とはまったく矛盾するやり方かもしれない。師匠のジャン・ルノワールも『矛盾しているけど、それでいいんだ』と言い切っていた。つまり、カードを書いているときは、カードを書いていることに集中し、脚本を書いているときにはそのことに集中することが大切なのだ

(Field 2005: p.239)

ぼくがシーンとシークエンスを明確に区別するようにと言ったのは、その2つを混同して「実は必要なシーンを考えていなかった」という事態を防ぐためであって、この矛盾を砕くためではない。

1シーン、もしくは1シークエンスを、1枚に書く。『シーン』という言葉から『シークエンス』という概念を区別したから少し混乱するかもしれないけれど、イメージとしては、何もかもひとまとめにしていたころの「シーンというやつ」で大丈夫だ。

「1シーン(『シーン』か『シークエンス』)を1枚のカードに書く」、こういうルールで書いていく。これを覚えておこう。